DC初心者のための足回り設計に関して

初心者向 DCマウスの足回りについて

 

この記事はMice Advent Calender 13日目の記事です。

 

皆さんこんにちは、べしと申します。

(最近研究でケアされていて全然マウスができていないです、記事を書く時間があまりなかったので読みにい点もあると思いますがご容赦ください!)

 

今回はこれからDCクラシックマウスを作ろうとしている、作ってみたいと考えている人に向けて書いていきたいと思います。

 

DCクラシックマウスを作るには回路設計はもちろんですが足回りと言ってモーターからタイヤに動力を伝える機構も設計する必要がありますよね。しかしゼロから足回りを設計するのはなかなか大変です。今回の記事はまず何をしたらいいかイメージができていない人の助けになればいいなと思って書かせてもらいます。 

数日前に書かれたハーフ競技マウスの足回りについて記事も大変参考になりますので是非見てみてください。

 

足回りを設計する際に必要になるのがCADと呼ばれる設計ツールですが、これに関しては昨日の人の記事などを参照してもらうといいと思います。

CADがインストール出来たら次に考えるのはどういった部品を使うかですよね。足回りで主に使う部品は以下のようになると思います。

・ピニオンギア

・スパーギア

ベアリング

・シムリング、スペーサー

・タイヤ

・軸ねじ、軸固定用ナット

・ホイール(自作or市販品)

・モーターマウント(自作)

ホイールについては自作・市販品どちらでも行けますが(私は部室のNCで自作)、モーターマウントは自作になります。ほかの部品は市販品を使うことになるでしょう。タイヤは京商の硬度20度のものが主でしょうか。

考えるべきはギアとベアリングをどうするかです。これが決まれば軸ねじやスペーサーも決まってくるはずです。

 

ここで回転機構を決めないと部品の選定ができませんね。(ある程度どんな部品があるかを知った上でないと本当は機構も決められませんが)

回転機構には主に2種類があると思います。

①軸はモーターマウントに固定して、軸は回らずにスパーギアと一緒にホイールが回転する

②軸はスパーギアとホイールに固定して、軸ごとギアとホイールが回転する

 

今回は自分を含め部内の多数が採用している①の方式について説明します。

※これはモーターとして1717などを使っていてエンコーダーのことを考える必要がない場合であるためあまり気にせずに①方式が使えます。磁気式エンコーダーなどを使用する場合は②の方式を使う人が多いようです。

 

①のスパーギアまわりの部品配置は以下の図のようになっています。(破線部は部品がはまる箇所です)

 

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スパーギアの内側の穴に1個のベアリングをはめ込み、スパーギアの外側の穴はホイールにはめ込みます。さらに、ホイールの内側の穴にもう一つのベアリングをはめ込みます。

ただし、ここで注意が必要で、ベアリングベアリングの間は空洞ではなく、以下の図のスペースにスペーサーと呼ばれる円筒状のもので埋める必要があります

これは、軸用のねじを締めた際にベアリングの内輪が内側に締め付けられて回転の抵抗となるのを防ぐためです。スペーサーを入れるか入れないかで回転抵抗が非常に変わってくるので、ちゃんと入れるようにしましょうね!(部室で声かけてくれればM2のものはあげられますよ)

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スペーサーは1mm単位ほどでしか長さの調整ができないため、微調整はシムリングと呼ばれる輪で行います。(シムリングは0.1mm単位で調整できます)

基本的にベアリングの内輪に接する箇所にはシムリングをあてて外輪が内輪と干渉しないようにするのが一番大切です。(最後の組み立て図参照)

以下、ベアリングの説明。

 

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軸はM2かM3のねじが良いと思います。M2は直径2mm、M3は直径3mmのねじのことです。経験則ですが、クラシック協議でM2を使ってみて細いと感じたことはありませんし、M2であればスパーギアを加工せずに組み立てられます!(←ここ重要)

どういうことかと言うと、Miceの多くの人が使用しているスパーギアには内径5mmの穴があいており、この径がベアリングの外径と一致するのでそのままはめ込むことが出来るのです。M3のねじを使ってしまうとベアリングの外径が6mmからとなってしまうので、これに合うちょうどよいスパーギアがなかなか見つからないかもしれません。

既製品のギアの穴の内径をNCで広げる程度のことはできると思いますが、回転の軸心がずれる可能性があるので初心者向けではないと思います。

 

自分が使用しているスパーギアとベアリングは以下 ↓

スパーギア:小原歯車工業DS成型歯車(モジュール0.5、歯数36)

ベアリング:F682ZZ(内径2、外径5、フランジ付き)

 

モーターの軸につくピニオンギアは軸径と同じ内径をもつ歯車を選びましょう。また、上のスパーギアを使うのならばモジュールを合わせてモジュール0.5のものを選びます。基本的にモジュールがあっていれば歯車同士はかみ合ってくれるはずです。(平歯車以外の歯車を選んだりしたらまた話は別ですが)

モジュールは0.3などもしばしば使用されていますが、ちょうどよい感じのギアを探すのが難しいです。

 

ここまでで来たらモーターマウントの設計に取り掛かる訳ですが、設計時に必要な情報がモーター軸の穴の位置とタイヤ回転軸の穴の位置の関係です。これは使用する歯車を決めた時点で制約条件が出てきてある程度決まってしまいます。

ただし重要なことは1つだけです。

かみ合う歯車2つは、「基準円直径」という直径をもつ2つの円が接していると考える

これだけです。

基準円直径=モジュール×歯数 なので自分の場合、ピニオンとスパーギア2つの円の中心間距離は

(0.5*36+0.5*9)/2=11.25mm

となります。(実際に加工する際には歯車のどうしの遊びを作るために0.1mm程度余分に離すほうが良いですが、後からでも少しならヤスリで削れます)

あとは、タイヤの直径を考えて回路基板が地面から少し浮くような配置となるようにマウントの穴の位置を調整して設計します。

 

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最後にねじを止める際に使うナットに関してですが、ナイロンナットがおすすめです。ナイロンナットはロックナットの一種で走行中の振動などを受けてもネジが緩むことがありません。締め直しを何回かしてもそれほどへたりませんし、模型用に様々な色のナイロンナットがあり、機体のワンポイントにもなりますよ!

 

最後に足回りに必要な部品と自分の足回りをまとめて図示します。

 

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長くなってしまってすみませんでした。

今回の内容はあくまで一例ですので、他にもいろいろとやり方はあると思います。設計がある程度できたら周りにいる先輩などに相談して色々な話を聞いてみましょう!

きっと気を付けるべきことを色々教えてくれるはずです。

 

この記事が足回りを設計する人に少しでも役に立ってもらえると嬉しいです。

 

次回はTukasa_haha氏の記事です!内容は明日になってからのお楽しみです!